初正月の贈り物・正月飾り
■羽子板の贈答慣行
生児が初めて迎える正月を「初正月」といいます。年中行事としての正月の中でも一生に一度の特別
な正月です。 関東地方のみならず多くの地域で、この正月を迎えるにあたって、男児には弓破魔を、女児には羽子板を贈る風習があります。これは、生児が初めて正月を迎えたお祝いと、無事成長をしていくように祈念する習俗です。特に埼玉
県では女児の初正月の羽子板贈答慣行は盛んで、贈られる羽子板も近年益々高級化しています。
昔から、女の子が生まれると初めての正月に、里の親や親戚が「道成寺」「汐汲」「朝妻」「藤娘」「八重垣姫」などの押絵羽子板を贈ってその子の健やかな成長を祈る習わしがあります。これらの羽子板は、見立物と呼ばれ、あどけない美少女の舞踏姿を表現されています。
■景気拡大を祈って
男物というのは、「狂言物」ともいわれ、歌舞伎狂言を題材とし、役者が見えを切ったときの表情や仕草を躍動的に描いたものです。衣装の絵柄も豊富で、羽子板の中に忠実に役柄の特徴を表現しています。男物は不景気をはねのける縁起物として知られていて、春日部では多くの会社が羽子板を飾っています。バブルの頃には、狂言物の中でも金を集めることから「ねずみ小僧」や「盗賊」を主人公とするものや、「宝船」や「三番叟」といったご祝儀物に人気がありました。
料亭やホテル等での装飾品としても人気が高く、新築祝いや開店祝いの贈り物としても大変喜ばれています。
■かすかべ押絵羽子板と特産品まつり
浅草の羽子板市には、昔から職人の街「春日部」から、春日部羽子板組合のメンバーの多くがお店を出しております。 また、春日部駅東口では、毎年12月23日前後に『かすかべ押絵羽子板と特産品まつり』が行われます。春日部は昔桐の産地であったこともあり、特産品には押絵羽子板、桐箱、桐たんすと桐に関係する特産品が多くあり、麦わら帽子も加えた4つの伝統的手工芸品が特産品となっております。
羽子板を買うことができる最後の市となる「かすかべ押絵羽子板と特産品まつり」では、本物の職人が作り上げた最高級品のみが、直接販売される数少ないチャンスとなっております。